水漏れ問題を解決するためのハンドブック

2025年9月
  • 賃貸のお風呂で床下水漏れが発生した時の対応

    知識

    賃貸マンションやアパートに住んでいて、お風呂の床下水漏れが疑われる事態に遭遇したら、パニックにならずに正しい手順で対応することが重要です。まず、絶対にやってはいけないのが、自己判断で修理業者を手配することです。賃貸物件の浴室設備や配管は、入居者の所有物ではなく、大家さんや管理会社の管理財産です。そのため、修理の責任と費用負担は、原則として貸主側にあります。水漏れの原因が、配管の経年劣化や自然な故障といった、入居者に責任のないものである場合、その修理費用は大家さんや管理会社が負担します。もし、あなたが勝手に業者を呼んで修理してしまうと、その費用を請求しても支払ってもらえないばかりか、物件に無断で手を加えたとして契約違反を問われる可能性すらあります。したがって、床下に水漏れの兆候(床の湿り、階下からの苦情など)を発見したら、最初に行うべきは、速やかに管理会社か大家さんに連絡することです。連絡する際は、いつから、どのような状況なのかを具体的に伝えましょう。例えば、「今朝、脱衣所の床が濡れているのに気づきました」「下の階の方から、天井にシミができていると連絡がありました」といったように、事実を正確に報告することが、迅速な対応に繋がります。もちろん、水が溢れ出ているような緊急の場合は、まず水道の元栓を閉めるなどの応急処置を優先しますが、その後の対応は必ず指示を仰いでください。ただし、入居者の不注意や過失、例えば物を落として浴槽を割ってしまった、掃除を怠って排水管を詰まらせた、といったことが原因の場合は、修理費用は入居者の負担となります。いずれにせよ、最初の行動は「報告・連絡・相談」。これが、賃貸物件でのトラブルを円満に解決するための鉄則です。

  • お風呂の床下水漏れを放置するとどうなるか

    浴室

    お風呂の床下で起きる水漏れは、目に見えない場所で進行するため、つい「まだ大丈夫だろう」と対応を後回しにしてしまいがちです。しかし、この判断が、後々取り返しのつかない事態を引き起こす可能性があります。水漏れを放置することのリスクは、単に水が漏れ続けるということだけではありません。常に湿った状態にある床下は、カビや菌が繁殖するための絶好の環境となります。発生したカビは、アレルギーや喘息といった健康被害を引き起こす原因となり、家族の健康を脅かします。さらに、湿った木材はシロアリの大好物です。水漏れによって湿った土台や柱は、シロアリを呼び寄せる格好の餌食となり、家の構造的な強度を著しく低下させてしまいます。気づいた時には、建物の基礎部分がスカスカになっていた、という最悪のケースも考えられます。また、木造住宅の場合、木材自体が水分を吸収して腐食し始めます。土台や柱が腐れば、家の耐久性は失われ、地震などの際に倒壊する危険性も高まります。マンションなどの集合住宅では、被害は自分の部屋だけにとどまりません。漏れた水は下の階へと浸透し、階下の住人の天井や壁、家財道具にまで被害を及ぼす可能性があります。そうなれば、多額の損害賠償責任を負うことになり、金銭的にも精神的にも大きな負担を強いられることになります。最初はわずかな水漏れでも、放置すればするほど被害は雪だるま式に拡大し、修理費用もそれに比例して高騰していきます。床下からの水漏れのサインに気づいたら、それは建物が発している緊急のSOS信号です。一刻も早い専門家による点検と修理が、あなたの大切な住まいと家族、そして財産を守るための唯一の方法なのです。